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「物語」

                             伊藤 阿二子
ページをめくって 新しい物語を始める
そんな年もあった
明日を憧れて寝に着く夜も
重い荷物を背負い直して迎えることも
これで良かったのかと問い続ける日も
ちいさな過ちを繰り返し
気付けば その年が暮れようとしていた時でさえ
物語は途絶えず
弱った人間を見限ることも無く
終着駅の辺りまで寄り添ってくる

残りのページを今日
また 一枚めくる


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