絵の家

今月の詩

7月の詩

「街の音」

                             伊藤 阿二子
ひと日が終り
投げ出すように 草臥れた身を横たえると
街の音が 今夜も耳に甦る
呼吸を整えながら
海鳴りに似た音を聞く
記憶の底から立ち上がってくるものたち

遠い日の 空と街並み
名前も覚束ない 懐かしい人たちの姿と顔に
ここに居るよ と
呼び掛けようとする
身の半分は眠りにつき
声が出ない
手を振ろうにも
腕が上らない

答えの出にくい事柄は傍らに押しやって
明るい方角に目をむけて
日向ばかりを見て過ごす倣いは ずっと昔から
街の音を
両腕に囲って寝につく


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