伊藤 阿二子 明け方の浅くなった眠りのなかで ふと囁きかけてくる声がする それで 良か あんたが 良か 聞き覚えのある 皺枯れた あのひとの ひとと比べられることに挫けたときに 耳元にそっと甦る ん? と問い返すと 眼を細めて ただ笑みを浮かべて 最終章の今も 阿蘇の裾野に広がる青草に抱かれ 一緒に眺めた雲の眩しさが甦る
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