伊藤 阿二子 陽が落ちて 低い西山の連なりが まだシルエットに変わりきれない頃 河口近くの川面は 暮れ残る広い空の 淡いすみれ色を映し 流れることを忘れ たゆたう 川の両腕は 大きく広がって 水の中の生きているもの全てを かこい 包み込む 釣りびとは 自然からの恩恵を受けても 受けなくても 川に抱かれて いっとき 点景となる
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